此花は既に万葉の時代に姿を表し自生していた落葉高木です。夜になると葉を閉じる習性があるためにねむの木とよばれたのであろう。合歓の木は万葉の時代には『ねぶ』と言っていたらしいです。後で調べると、結構呼び名もあるようで『合歓木(ごうかんぼく)』と別名で言う所もある。
紀女朗(きのいらめ)に
昼は咲夜は恋寝る合歓の木(ねぶ)の
花君のみめや戯奴(わけ)さへに見よ
”昼は花開き夜は恋して寝る合歓の木の花を主だけ見てよいのであろうか?お前も見なさい”
大友家持に
吾妹子(わぎもこ)が形見の合歓の木
は花のみに咲きてけだしく実にならじかも
”そなたの形見の合歓の木は花ばかり咲いてたぶん身にならないでしょう”
と歌ってます。
花々は老若男女、綺麗なものは綺麗と思うであろうし、万葉集の歌はとかく恋愛物が多く詠まれるが、必ずしもそういう特定の女人だけの景色情景に固めたものの考え方は必要ないでしょう。人生色々、楽しいときはなお爽快に、疲れたとき、困ったときふと見える花々に心癒されることもあろう、母なる大地からの贈り物として、素直(すなお)に受け止めることが良いでしょう。